ことり

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ことりのおじさん、この作品の主人公。 人語を話さない兄を持ち、その兄を慕って一緒に暮らす。
兄は小鳥たちと会話ができるようで、主人公は唯一兄の言葉「ポーポー語」を理解した。
両親がなくなり、長年連れ添った兄とも死に別れ、天涯孤独の身となったが、それはあくまでも人を中心とした世界。
途中、図書館の司書との淡い叶わぬ恋も夢見たが、彼は幼稚園の鳥小屋の世話を通じて心を通わせていく小鳥たちが、庭にやってくる野鳥たちがいたので決して淋しくはなかった。
自宅の窓にぶつかって翼を骨折したメジロの幼鳥を助け、病院に連れて行って治療してもらい、餌をやりながら心を通わす。
やがて幼鳥に歌を教えるまでに。
メジロは彼の教えを守り、自分のものとし、彼を超える素晴らしい歌を歌う成鳥へ育った。
鳥籠からメジロを解放しようと決めた夜、彼は眠ったまま二度と目を覚ますことはなかった。
ここで冒頭(いきなり主人公が亡くなっていて、警察が検証している最中に誤って鳥籠のメジロを逃がしてしまう)の話に繋がる。
孤独だが孤独ではない、部外者からみると切ない話だが、男にとっては小さな小さな幸せの物語でした。
小川さんの作品は、しっとりと心に染み入り、そして潤す清涼飲料みたいな作品が多いですね。
さぁ、スッキリと昼からの仕事を頑張ろう!(^^ゞ