愛しの座敷わらし

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家で何か不可解なこと、あるはずの物が失せてたり、とんでもな場所から出てきたりしたら「わらしの仕業」と我が家では言っている。
見たことはないけど。(^^ゞ

地方支店に左遷された夫が、自然豊かなど田舎にある古民家に家族を説得して引越した。
そこには何故かもう一人の気配が。
9歳の男の子と祖母だけが頻繁に目にする4〜5歳の子供の姿をしている。
おかっぱ頭で、てっぺんが髪を結わえてツンと立ってて、紺色の着物を着ている。
近所のお婆さんに聞いてみると、それは「座敷わらし」というらしい。
幸福を運んでくる神様みたいなもの。
でも、それは飢饉などで間引かれた幼子の生まれ変わりだと。
悲しい話が裏にあった。
当の座敷わらしには、そんなことに体する恨み辛みは無いようだけど。
ちょっとドン臭くて、ビビリ魔で、恥ずかしがり屋で、寂しがり屋で、甘えん坊で、好奇心満点な子供で、大人には姿を見せてくれない。
気持ちが離れてバラバラだった家族が「座敷わらし」との関わりを通じて家族を取り戻し、絆を深めていく家族再生の物語でした。
いやぁ、文章表現上の座敷わらしには可愛らしいんだけど、裏表紙の座敷わらしの絵はチョット怖いぞ。(笑)