十二単衣を着た悪魔

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いや、これは面白かった。
源氏物語の脇役の「弘徽殿女御」にスポットライトを当て、平安の世から変わらぬ女のしたたかさ、強さ、男の色ボケ、ひ弱さを浮き彫りにし、日本の現状への憂いも盛り込みながらの一大エンターテイメントに仕上げている。
天晴れである。(^^ゞ

内容は、一流の弟を持った二流の兄が突然「源氏物語」の世界に迷い込んでしまい、たまたま持っていた源氏物語の粗筋本で物語の展開の先を読むことができ、比類なき陰陽師として弘徽殿女御に雇われ活躍する。
源氏物語の世界で数多の雅の世界、権力闘争、光源氏の色恋沙汰をリアルタイムで体験した主人公は、現世では得られなかった頼られ感、仕事、地位に満足感を得て、自分の居場所は本来はここではないかと思うに至る。
桐壺帝の正室である弘徽殿女御の長男「春宮」(二流)と別腹(藤壺)の次男「光源氏」(一流)との対比が自分と弟とダブらせる。
弘徽殿女御の本性、執念、策略、まさに悪魔であった。
これは、もう一つの「源氏物語」。

あっ、ちなみに迷い込んだ期間は26年で、予想通り現世に戻されるわけだが、現世では20分ぐらいしか経過していなかったのには笑った。(^m^)
ま、生きて行く目的を見つけることができ、決して無駄な経験ではなかったと。
二流でも成長できるというお話でした。(違)