光の国クーパー

113

またしゃべる猫が出てきた。
クーパーと呼ばれる杉の化け物(歩くらしい)から国を守るために毎年兵士を選抜して送り出す。
兵士はクーパーを谷底に落としてやっつける。
その時、クーパーが破裂して中の液体が飛散し、それを浴びると透明になってしまうという。
透明の兵士が国を守るためにかえってくるという言い伝えがある小さな国のお話。
その小国に、かつて戦争に負けた鉄国と呼ばれる大国の兵士たちが支配下におくために占領してきた。
支配するものと支配されるもの。
小国に住む猫は鼠を見ると古よりの習い症で追いかける。
狩るものと狩られるもの。
猫と鼠、小国と鉄国の関係は相似形。
鼠は勇気を出して猫と交渉する。
鼠を狩ることをやめることはできないだろうかと。
諦め、思い込み、悲観、それらを打破したとき物事は動いていく。
人間はどうだろうか?
猫から小国の現状を、クーパー兵士の話を全て聞き終えた時、男は立ち上がった。
嫁に浮気されたしがない男が海釣りに逃避して遭難し、辿り着いた地で思いもよらぬ光景の中で。
最後のオチが予想通りだったけど、2年半かけた長編書き下ろしは十分楽しめました。