海辺の扉 上・下

69、70

誤って自分の子供を死なせてしまった男が、妻から許されず離婚し、逃げるようにして日本から出て行った。
そして行きずりのギリシャ人の聡明な女性と愛のない結婚した。
子供を死なせてしまった過去を隠し、定職も就かず、後ろ暗い仕事を請け負って日銭を稼いでいた。
それでも死なせた子供に対する罪の意識は忘れない。
やがて高額報酬の危険な香りのする仕事を請け、この仕事を最後に妻を連れて日本に帰ろうとするが・・・
子供や元妻に対する贖罪の旅、人間を取り戻す旅、親不孝を詫びる旅、そして今大切な人は誰なのかを悟る旅の物語。
暗黒から差す一条の光にも似た再生の結末はハッピーエンドではあったが、元妻は哀れだったなぁ。