あかんべえ 上・下

66、67

時代小説、それもホラーもの。
とはいえ、そんなおどろおどろしくなく人情味あふれる物語になっている。
主人公は「おりん」という12歳の少女。
彼女は病に伏し、死のはざまで出会った老人が覗いていた丸い水面の水を舐めたために起こった出来事とは。。。
病が全快したおりんは、父母が働く料理屋で「お化け」が見えるようになった。
合計5人のお化けさん。
いずれもこの料理屋に居ついている。
それぞれがそれぞれの理由でこの世に未練を執念を残したもの達であったが、なんで死んで成仏していないのかみな覚えていないという。
おりんに優しいお化け達。
異形の、物の怪立ちであったが憎めないやつらであった。
あかんべえをするばかりのおりんより幼子のお化けもいたが。
聡くて優しいおりんは、お化け達が成仏できるよう奔走する。
人とお化けとの友情?とも思える交わりが新鮮でした。
お化けよりも生きた人のおぞましさが怖い。
なかなか教訓めいたお話じゃないですか。
最後に明らかになるお化け達の死んだ原因、彼等に関わる大元の極悪坊主の諸行。
やがてお化け達は自分の死に際を思い出し成仏して姿を消す。
めでたしめでたし、やはりコレは後書きにあったようにファンタジーであった。