終わらざる夏 上・下

11、12

史実に創作を織り交ぜた大作。
読み応えありました。
北の最果ての地「占守島」。
千島列島(クリル諸島)最東端の小さな島で繰り広げられた無意味な戦い。
ポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を呑んだ日本に対して、国際法を無視して攻め込んできたソヴィエト。
双方に散らなくても良い命が多数散ってしまった悲劇。
著者は戦争の愚かさを3人の召集者とその家族、出身地、疎開先での出来事を通して、また敵国ソヴィエトの若き将校を通して描き切っていた。
国対国の面子、エゴ、欲望のために、未来を担う筈の若者を、今の礎を築いた中高年を、一家を支える働き頭を、たった1枚の赤い紙切れで召し上げ、1億総玉砕を叫んだ軍部とは一体何だったのか?
人も、緑も、他の生き物も、何も残っていない焼野原に彼等は何を夢想したのか??
遣り切れないねぇ。
この本を読んでそう思いましたよ。
そして新たなる怒りも。
某国は無条件で今すぐ立ち去れ!