名探偵の呪縛

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この作品は東野氏の「本格推理小説」に対する『愛』が詰まってます。(^^ゞ
「私」である東野氏がいつの間にか違う世界に放り込まれて、名探偵の天下一(これは「名探偵の掟」に出てくる主人公ですね、姉妹作品ですので出来たらそちらを先の読まれた方が、より味わい深くなること請け合いです)になってしまい、そこで起きる殺人事件を次々と名推理で解決してしまうお話。
と書けば、単なる推理小説を少しひねっただけと思われてしまうが、これは東野氏の本格推理に対する思い入れや本音が書かれてる。
懐古趣味的でちっとも進歩していない密室だのトリックだのといった推理小説を否定しながらも自分もそういった分野に身をおいていた過去を切り捨てることはしていない。
東野氏が思い描く本格推理の世界を残しつつ、いつかまたそのピッチ(W杯直後だから〜(^^;)に立てたらいいなと思っているところがお茶目で素敵です。