連鎖

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作者の真保 裕一氏の「第37回江戸川乱歩賞」を取ってのデビュー作ですね。
食品Gメンを題材にした異色作です。
農薬の残留する汚染食品の横流しを追っていた友人の自殺未遂に疑問を持った主人公が彼の追っていたものをたどっていく過程で、チェルノブイリ原発事故の放射能に汚染された食品やら、ココム規制品の密輸やら、麻薬取引やら、自身の自殺未遂の友人の嫁(昔の彼女)を寝取ったドロドロとした人間関係やらが複雑奇怪に交じり合っての長編大作に仕上がっています。
本題の「連鎖」は、恨みからくる復讐は犯罪を生み、そこからまた新たな恨み、復讐を生むという悪循環のことを意味しています。
始まりは妬み。
人間は厄介なイキモノです。