白夜行

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幻夜」とも違った女の恐ろしさ、強かさが私の身体をぞくぞくとさせる作品でした。
舞台のベースは著者の生まれ育った大阪ですね。
彼が一時身を置いた日本電装(現デンソー)をほうふつさせる社名も出てきたり。
で、主人公は陽の当たる表舞台よりは境目辺りをうろうろする「女」と「男」ですね。
それが表題の一部の「白夜」に繋がるんですが。
その女は、周りから見ると結して表舞台から遠い場所にいたわけではなく脚光を浴びる位置にいたわけですが、灯りが強ければそれに比例して闇も深いわけで。
小学校5年から30歳の妖艶な女に至るまでに彼女の近くで起こる怪しい出来事、不幸が全て彼女だけのせいではなく、彼女の同級生だった一人の「男」との共存共栄関係がこの作品の肝ですね。
全ては彼女が小学5年生の時に被ったおぞましい出来事、そしてそれを目撃した同級生の彼がやった殺人事件が根源です。
この事件を19年間追い続けた一人の刑事が、彼の執念がこの作品にいい味をプラスしています。
いい作品でした。