さまよう刃

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東野圭吾。。。。人気の作家である。
図書館では殆どの作品が貸し出し済みであり、予約がいっぱい入っていていつ借りれるのか分からない幻の作品たち、といえば大袈裟か。
たまたまこの一冊が目に留まった。
で、どんな作風なんだろうと借りて読んでみた。
なかなかいい、一気に読んでしまった。

冒頭でいきなりその後の凶器になりうるものが登場する。
それがどういう風にこの作品の中で扱われるのか興味津々で読みすすめてみると。。。
未成年のゴロツキどもによる少女拉致、ヤク打ち、強姦、そして急性ヤク中毒による致死。。。
ゴロツキどもの強姦罪はこれが初めてではなく、なんと卑劣なことにその行為をビデオ撮影していたという鬼畜以下の所業をやらかしていた。
そして被害少女の父親が、ひょんなことからゴロツキが誰なのか分かってしまう。
普通の人間が鬼と化し、ゴロツキどもに対する復讐心に燃える様が哀れ。
ある女性に匿われながら犯人探し。
何度も自首を勧められるのだが頑なに目的を果たそうとする。
持って行き場のない怒り、憎しみ、そして躊躇と諦め、それらが誰もが心の奥底に忍ばせている「さまよう刃」なのか?
最後は悲しい結末になるのだが・・・
著者は「少年法」に対してどういうアプローチをとるのか。
果たして、少年法は被害者を救済しない、そもそも加害者を守るもの、メディアを通して得られた情報で一般市民をも巻き込んで、少年法のマイナス面をえぐり出す。
作品に出てくる刑事も本音では被害者に同情的ではあるのだが、法にしばられて結果的にゴロツキを助けてしまう悲しい性。
自分たちが正義に則ってやっていると思っていることも本当に正しいことなのか、悪を断ち切ることができるのか、これまた「さまよう刃」。