よみがえる最後の晩餐

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確か十数年前に彼の国で補修中の実物を見たと思っていたのだが・・・・
レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な作品であるが、実は近年(1999年以前)皆さんがご覧になっていたものは彼の作品の上に「あーでもない、こーでもない」と描き換えられた別物だったとは。(驚)
NHKの「よみがえる最後の晩餐 〜 レオナルド・ダ・ヴィンチ 500年目の再会 〜」という番組をメインに書き下ろした美術ドキュメント。

完成直後から絵の具の剥離が起こり、100年も経たないうちに原型が判読不明な状態になっていたとか。
加筆修正は なされたものの、レオナルドの意図するところからかけ離れた修正、及びよりいっそう悪影響を及ぼした修復作業や長年の塵や埃の付着、劣化、第2次大戦時の爆撃によるダメージが重なって見るも無残な姿をさらしていた。
それを丁寧にオリジナルの下絵を復活させるべく上に塗られた修正&修復痕の科学的手法による気の遠くなる(20年も費やしている)ような除去作業を経て蘇った「最後の晩餐」は・・・・ハゲハゲ状態で細部が分からなくなっている部分が多いもののレオナルドの才能の片鱗を充分伝えるものであったと。
それを元にCGによる復元画も併せて作成されたのだが、それは見事な色鮮で、表情豊かな人物像が今まさにイエスが発した「この中に私を裏切るものがいる」という予言の波紋を物語っていて興味深い。

本書ではヨハネが女性的に描かれていることには言及されていたが『ダ・ヴィンチ・コード』にあった「マグダラのマリア」説には一切触れられていませんでした。(^^;

本書の突っ込みどころ;
CGによる復元画像の作成に使用されたマッキントッシュのパソコンの性能の説明の件で、
「RAM(CPU)が七六八メガバイトという大容量のコンピュータが備え付けられた」(104ページ、14行目)
と書かれた箇所。
RAMをCPUと補足しますか。(呆気)